先日、ある方と話をしていてこんな事を聞かれました。
「上江田さん、イタリアンの料理人なのに、なぜイラブー汁作ってるの?」その方はイタリア食材を取り扱うお仕事をされている方なので、気になったようです。
僕の答えは、こうです。
「それは、僕が地元の料理、食材をあまりにも知らないからです。」
23歳で料理の道に入り、23年間シェフとして食に携わってきました。
大好きなイタリア料理。
初めて訪れたイタリアで触れた素晴らしい食文化。
あの感動は今でも忘れません。
パスタも、ピッツァも、肉料理、魚料理も、保存食も、もちろんワインも。
もう何もかもが素晴らしかった。
一気に引き込まれました。
その後、僕なりに一生懸命料理させて頂き、スタッフやお客様に支えて頂きながら、TRATTORIA Lampを続けることが出来ました。
しかし、僕の中にはある想いがありました。
「僕は、沖縄の伝統料理、素材を知らない。」
僕がひかれたイタリアの人たちは皆、地元の食、文化に誇りを持っていました。
自分たちの文化が好きで好きでたまらない、誇らしい!その気持ちが身体中から溢れた笑顔。
それに対し、地元の伝統料理を知らず、作らない僕は、彼らから一番遠いところにいるんじゃないかと思いました。
それから、少しずつ地元の素材に触れ、それを育てる生産者と接することで、気持ちが明らかに変わってきたのを覚えています。
ここに無いものが輝いて見える事はある。
だけど僕は、彼らが満面の笑みでそうしたように、沖縄の素材、食文化を誇りたい。
その為に、与えられた役割があるのならしっかり取り組んでいきたい。
TRATTORIA Lampという名前に幕を下ろして一年あまり。
やっと気持ちも落ち着いてきて、沖縄の食文化を僕なりに解釈したお料理を見て頂ける場を持ちたいと考えています。
詳細は決まっていませんが、追ってご報告させて頂きます。
写真は6年前に作ったLampのロゴ。
シンボルマークに取り入れたのはイラブーです。
沖縄の誇るべき食材の一つ。
あらためてあの頃の決意を思い出させてくれています。
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