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| 野菜料理としてのスープ
こんにちは、上江田です。
私たちがお届けしている野菜のスープについてお話ししたいと思います。
営んでいたレストランTRATTORIA Lamp (トラットリア・ランプ)でもコースの中で野菜料理としてお出ししていたスープです。
その時期に、沖縄で採れる野菜を12種類使い調味料は、水とし島塩、少しのオリーブオイルのみです。
野菜に関しても、土の中にできる野菜、茎を食べる野菜、葉野菜、実を食べる野菜とバランスよく入れることで、味に奥行きを出すようにしています。
それらの野菜を、一番味の出やすい大きさにカットして、味の出にくいものから順番に入れて行き、野菜と塩分、水分のバランスを一定に保ちながら弱火でゆっくり煮込んでいきます。
この時にあまり火を強めすぎると、野菜の持っている旨みや甘みがよく出てきません。
じっくりと時間をかけて、3〜4時間煮込むことで、野菜の味が出てきます。
煮込み始めはバラバラだった野菜それぞれの香りが、煮込んでいくうちに一つにまとまった香りに変化していきます。
香りが一つにまとまって、丸い印象になったら仕上げに入っていきます。
| 使う野菜について
スープに入れるお野菜は、契約農家さんから頂いた野菜か、自分たちで直売所をまわり目で見て集めてきた野菜たちです。
どれも力強さを持った野菜たちで、主張が強いものもありますが、スープになると本当にいい味を出してくれます。
このスープ、一年を通して作っていると作り方は一緒でも、その味の元となる野菜たちの種類が変わることによって、季節ごとに味が変化していくのです。
夏は溌剌とした輪郭のはっきりとした味に。
秋は徐々に落ち着いた印象、根菜類も増えてくるので力強い味に。
冬は野菜たちも甘みを蓄える時期なので、甘くおおらかな味に。
春は眠っていた身体を呼び起こすような、ほんのり苦味をおびた味に。
レシピ自体がシンプルなので、沖縄の季節の移り変わりを感じて頂けるかと思います。
| 素材そのもの
今は野菜と水、塩だけで作っている料理ですが、野菜のスープを作りたい!と思い15年前作り始めた当初は、パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)や、鶏の出汁も入れていました。
確かに美味しいスープにはなったんですが、野菜の味が豚や鶏の旨みの後ろに隠れている印象を持ちました。
そこで、まずパンチェッタを抜いてみました。隠れていた野菜の旨みが少しだけ前に出てきました。
次に鶏の出汁も使わずに水にしてみました。
すると、確かに野菜の味は凄くするのですが、味に深みがないというか、あまりにもさっぱりとした印象でした。
それから、水や塩の量、入れるタイミング、火加減などの調整をしながら少しずつ今の形が出来上がってきました。
| 大事にしていきたい料理
決して華やかなスープではありませんが、素材や料理に対する私たちの考え方を示す大切なスープです。
素材そのものの味を大切にする、味を足しすぎない、何を食べているかわからない料理は作らない。
身体に染み渡る自然の味わいを通して、その素材が育った環境や、生産者の想いを感じていただければ嬉しいです。
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