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宜野座村にある鍛冶屋さん
宜野座村に伝統的な島包丁を作る鍛冶屋さんがあると聞いてお邪魔しました。
その鍛冶屋さんは「カニマン鍛治工房」といいます。
工房の主、知名さんは自動車のスプリング材などの鉄材を利用して昔ながらの型の刃物を作っておられます。
座りながら台所仕事をする事が多かった沖縄のアンマーたちが使っていた島包丁(シマボウチャー)という独特の形をした包丁を中心に作っていらっしゃいます。
座り作業がしやすいように、刃先が上に反ったような形をしています。
柄に彫りがあるものは、肉や魚を捌く際、脂で手が滑らないようにと施されたもの。
島包丁の素材
島包丁の素材には、自動車に使われるバネ材やSK材と呼ばれる鋼が主に使われます。
これらの素材を使うと、とても硬い包丁になるのでかなりハードな使い方にも対応できるのだそうです。
実際触らせてもらいましたが、しっかりと硬く無骨な印象が伝わってきました。
生活の必需品として使われてきた島包丁。
これを使って家族の食事をせっせと作ってきたお母さんの姿が浮かぶようです。
素材を循環させ、使う人の事を考え、想いのこもった「共存するものづくり」っていいですね。
鍛治職人 知名定順(ちな ていじゅん)さん
工房の主であり、鍛治職人の知名定順(ちな ていじゅん)さんは、とてもにこやかに島包丁の成り立ちなどを話して下さいました。
子供の頃から刃物が好きだったとおっしゃる知名さん。
以前勤めていらっしゃった博物館を退職されて、独学で鍛治の技術を学ばれたそうです。
お話ししていても、島包丁に寄せる愛情がひしひしと伝わってくる方です。
オーダーメイドにも対応
オーダーメイドにも対応して下さいます。
用途や頻度などをお伝えして、刃の形や材質、柄の素材などを相談して決めていきます。
工房内には、様々なタイプのサンプルも並べられていますので、それらを手に取りながら知名さんと相談しながら決めるのをお勧めします。
付き合っていく包丁
2丁の包丁を注文させて頂きました。
注文から3ヶ月ほどで、「包丁が出来たよ。」とのご連絡を頂きました。
今回作って頂いたのは、写真の2丁。
島包丁(シマボウチャー):写真上
島包丁(シマボウチャー)は、肉を捌くときに使いたいと思いお願いしました。
硬く剃った形状なので、骨から肉を外す作業などに使いやすそうです。
柄には、脂で手が滑らないように彫りを入れて頂きました。
ペティーナイフ:写真下
ペティーナイフは、主に畑や山で、野菜や果物を採る時に使いたいと思いました。
手に合わせて握りやすく、柄は少し大きめに。
刃は多少の汎用性はあるように、硬いバネ材でお願いしました。
2丁とも握った感覚がしっくりきます。
これから、色々な用途に使っていき、より手に馴染むよう付き合っていきたいと思います。
カニマン鍛治工房の包丁ができるまで
①材料の選別
用途に応じて刃の材料を選ぶ。自動車のバネ材やSK材(工具にも使われる硬い鋼)が主な材料。
②鍛造
木炭で素材を焼きながら機械と手持ちハンマーで叩きのばし、整形していく。
③整形
グラインダーを用いて、鍛造で生じた凹凸を整える。
④刃を出す
グラインダーで刃を出す。
⑤焼き入れ
再び鋼を焼き、一気に水で冷やす。この作業で刃はより硬くなる。
⑥焼戻し
焼き入れをした刃を再び焼き、硬い刃に粘りを与え、刃欠けしにくい刃にする。
⑦刃の研ぎ出し
研いで刃を出す。
⑧柄作り
地元の木で柄を作る。
カニマン鍛治工房
場所:沖縄県宜野座村字松田2629-10
電話:098-968-8459
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